膝に乗せた男の子がテレビで旅をしていた

週に一度、実家に泊まりに行く。

朝寝しようと思っていたのに母に起こされた。テレビで旅をしている青年が知り合いの息子さんだというのだ。「顔、分かる?」と言われても、私も長い間会っていないから顔など分からない。小さな男の子だった頃の顔すら思い出せないのに、今の顔など分からない。しかし、名前と経歴から間違いないってば。

とても昔の知り合いだ。彼の家族のターニングポイントに両親が立ち会っていた。というか、仲介したといえるかもしれない、彼の家族と神さまの。

それからいろいろあって、今は接点はない。

実は私は、彼のお母さまをほんの少し恨んでいた。もう十年以上も前、私のかなりの手間と気持ちを、その人は全くの無自覚に無駄にしてしまったのだ。これは当時の私にとっては結構、精神的な痛手だった。だから、男の子だった彼が大人になって活躍しているらしいと聞いても素直に喜べないでいた。

けれど、テレビの中の青年は明るくて快活で楽しそうで、見ているうちに、ああ、良かったなあ。と思った。

 

それにしても。

知り合いの知り合い、という形でたどれば6人で世界中の誰とでも繋がるという説があるらしい。私は「知り合いの知り合いの知り合い」に女優さんと俳優さんがいるけれど、どちらも教会関係だったりする。キリスト教徒はこの国では現在、人口の0.9%らしいのだけど、普通では知り合うはずもない人が集まっているから、そこが結節点になるんだろうか。

祖母も伯母も両親もクリスチャンであるけれど、というか私も洗礼を受けたのだけれど、何年も教会に行っていない。葛藤を抱えつつ、いつも心に何かが引っ掛かったようで、ずっと考え続けている。

 

4件のコメント

  1. かなりの手間と気持ちを、その人は全くの無自覚に無駄にしてしまったのだ。これは当時の私にとっては結構、精神的な痛手だった。
    TAMAKIさんがここまで書くからにはかなりダメージがあったんだと思います。
    無自覚に・・・と言いますが、その女性は受けた恩に対して、無自覚なはずはないと思います。恐らくクリスチャンのほとんどの方は穏やかで忍耐強く人を許すトレーニングを積んでいるので、恩を無駄にしても許して貰えるだろうととらえていたのではないかと思えるんです。
    クリスチャンが本当に忍耐強いと思った、私が引っ越す前の家でお世話になったクリスチャンの女性が教えて下さった韓国のお話があります。
    韓国のあるクリスチャンの女性が教会で礼拝中に、その女性のご主人がやって来て教会に火をつけ、たくさんの人が亡くなったそうなんです。ご主人は奥さんの信仰に反対だったんですね。それで私は彼女に教会は放火した男性に対して抗議したのか、どのように反応したのか尋ねました。
    すると「その男性を責める事はしませんでした」との事。そしてその男性が将来神に導かれるようにと祈ったとの事でした。激しい気性の男性だったのでしょうね。
    私はクリスチャンの彼女にとても親切にして貰いましたが、結局信者にはなりませんでした。
    でも今でも彼女の事をよく覚えています。
    今でも絶対的な信頼感があります。もし会ったとしたらとても嬉しいです。
    彼女は看護師さん、何となくあの世では会える気がしています。
    追記:認証文字 「またこい」ですって。

  2. medical_rodさん、こんにちは。
    「またこい」は面白いですね。いつもランダムで、見事に意味がないのに。

    彼のお母さんは、私に恩があったわけではなくて、
    約束をうっかり忘れてしまったのです。
    私は教会のバザーのために手彫りでマグネットを作り、
    「1個60円で売ってください」(50円だったかも)と、お願いしたら、
    わざわざ電話をくださって、
    「1個60円では勿体ないわよ。100円にしましょう。売れなかったら、私が値段を下げておくから」
    と、言われたのでした。
    シンプルなものだったので、100円では売れないだろうと思っていたけれど、
    値下げしてもらえるなら、とお願いしたのですが、
    彼女は100円にしたまま早々に帰ってしまい(用事があったのですが)、
    結果、一つも売れないまま手元に戻ってきたのです。
    その頃の私は、教会での自分のあり方とか、いろいろ悩んでいた時期でもあったので、
    精神的ダメージ、だったのですが。

    教会に行くと、「普通の人の見本市」という感じで、
    普通なら知り合わないような人たちが一緒にいます。
    普通の、愛すべき人たちです。
    みんなおしなべて善良で優しいと思います。

    許す、ということは難しいですね。
    自分を偽って無理に許すと、気付かずに自分が歪んでしまいます。
    許さない、というとネガティブな感情に蝕まれてしまう。
    許せる、というのが信仰なのでしょうね。
    ほんとうに、難しいです。

    なんとなく、あの世でまた会えそうな気がする人って、
    いますね。
    私は、短期入院していたとき、同室だった人がそうです。

    1. 具体的なお話を伺って、よく分かりました。
      確かにTAMAKIさんが仰った通りの価格を初めから設定していたら、
      売れていたと思います。それを彼女がわざわざ電話してきて
      途中で下げてあげるからと請け負っておきながら、忘れて帰ったと
      言う事になります。親切なようで、うかつな事をしてしまいました。
      最初と最後の完結のない行いでした。
      自分から請け負ったのに、引継ぎを忘れたんですね。
      メモでも残せば他の人が値下げしたと思いますが。
      こういう事できちんと出来ないと
      以降信用出来ない気持ちになりますね。
      TAMAKIさんが本当に気の毒です。
      その場にいたら、私がマグネットを購入したいと思います。
      TAMAKIさんは穏やかで絶対怒らない人と思われていたのでは。
      賢いから黙っているだけなんだけれど。
      余計な波風立てないように、ぐっとこらえたんですね。
      賢いので年齢よりもずっと大人だったんですね。
      立派です。
      けれど相手に言ってもかえって良くない雰囲気になる事も
      あります。特に年上の人には言いづらいですね。
      自分の中で堪えて平穏を保つのか、相手に伝えた方が良いのか。
      きっと相手の女性は「ごめんなさいね」と
      言ったと信じたいです。
      TAMAKIさんはレアな程整った人格で、抑制心をお持ちです。
      神様に鍛え上げられたと思います。
      でも心を歪めてしまう程我慢しないでくださいね。
      相手が冷静な話し合いの出来る方ならば勇気を持って
      伝えた方が良いかなと思います。

      1. medical_rodさん、こんにちは。

        優しいお言葉、ありがとうございます。

        残念ながら、整った人格ではないので、パニック障害持ちです。
        子どもの頃から、心の中でも相手を裁いてはいけないと思い込んでいたので、
        医師の指示でカウンセリングを受けるまで、
        自分が腹を立てていることに気が付きませんでした。
        ほんとに、困ったものです。
        今は「私は今、怒っているぞ」と、意識しているので大丈夫………?です。
        むしろ本来の攻撃的な性格を隠すのが大変なくらいです。

        マグネット、シンプルな力作だったのです。
        けれど、パニック障害で一人では電車に乗れない頃で、
        仕方なく郵送で託したのでした。
        なので、その方とはそれ以降会わず、文句を言う機会もなかったのです。
        でも、別の方から「一つも売れませんでしたけど、どうしますか?」
        と電話が来たときは本当にがっかりしました。
        弱っていた時期なので、余計に堪えたのです。
        そんなこんなが重なって、今は教会を長期欠席中なのです。
        教会の人たちはみんな、気さくでいい人たちなのですけれど。

        そうですね。
        相手が冷静に話せる人なら、ちゃんと伝えるほうがいいですね。
        率直に、と心掛ける今日この頃なのですが、なかなか難しいです。

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