風邪のひきはじめの漢方薬

急に涼しくなった気がしますね。

冬になると風邪。風邪の漢方薬って、種類が多くて選び方が分からないですよね。せっかくなので、風邪のひきはじめの漢方薬について書いてみます。

私は寒くなると、葛根湯と貼る使い捨てカイロをいつも鞄に入れています。
「なんだか怪しい?」と思ったら、その場で葛根湯を飲んで、貼るカイロを背中の上の方(肩甲骨の間くらい)に貼ると、けっこう、風邪に至らず持ちこたえられます。

 

寒気には葛根湯

葛根湯は飲むタイミングが大事

「葛根湯を飲んでも効かない」という人がいるけれど、これは飲むタイミングが遅いのだと思います。私見ですが(とはいえ、たぶん、よく言われている)、葛根湯は風邪をひいてから飲んでも遅いです。
「あれ? なんか寒気がする? なんか変」というタイミングで飲まないと。
基本的に、寒気を感じたら飲む

でも、そんなに気軽に薬を飲んでもいいのか。
ほとんどの人が大丈夫だと思います。

葛根湯の処方と、その成分を「簡単に」見てみましょう。

葛根(かっこん)………葛の根。葛餅にも使う
大棗(たいそう)………なつめの果実。ドライフルーツとしても食べられる
麻黄(まおう)………まおうの地上茎
甘草(かんぞう)………甘草の根。醤油やお菓子の甘味料としても使わせる。
桂皮(けいひ)………しなにっけいの樹皮。シナモンと同じ木。
芍薬(しゃくやく)………芍薬の根
生姜(しょうきょう)………生姜の根茎

けっこう、おなじみの食材がほとんどです。

でも、もちろん薬なので、違和感を感じたらすぐに中止、が基本ですね。

ちなみに個人的なお勧めは、「1日2回」のタイプ。私の母も、「1日2回のが効く」と申しております。

 

 

葛根湯の副作用、謎の注意書き

葛根湯の副作用って、あまりないようですが、血圧の高い人は、1、2日ならいいけど、連用は避けたほうがよいそうです。

さて、

葛根湯の効能を読むと(ツムラのサイトから)

効能・効果
体力中等度以上のものの次の諸症:感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み

この「汗をかいていないもの」って、謎ですよね。

葛根湯は、風邪が身体の内部に入り込まず、表面に留まっているうちに(あくまで漢方の考え方)、汗をかいて追い出してしまおうというもの。

けれど、身体が虚弱な人は汗腺を閉める力が弱くて、寒気がするのに汗をかいてしまうのです。

これ、私、体験しました。本当に、寒気がするのに、じんわり汗をかくんです。葛根湯を飲んだら、もう、すんごい汗をかいちゃって、却って体力を奪われちゃいました。

では、どうする?

 

葛根湯よりもやさしい桂枝湯

汗腺が緩くて汗をかいてしまう人には、桂枝湯、だそうです。

桂枝湯の処方は、葛根湯から発汗作用の強い「葛根」と「麻黄」を抜いたもの。(正確には、そもそも桂枝湯があり、発汗作用を強めた処方が葛根湯らしい。)

 

(あんまり薬局の店頭で見ないのが残念。けれど、葛根湯が飲めない体質なら、ネットで買って置いておきたいです)

しかし、正直なところ、葛根湯ほどバシッと効く実感はありませんでした。

「そうか、私、葛根湯を飲む体力がないんだ…」
と、落ち込んだ私でしたが、翌年にはなぜか「寒気がするのに汗をかく」という状態はなくなり、葛根湯を飲んでも大丈夫になりました。

 

熱っぽい風邪には銀翹散

漢方では風邪のとき、「寒気がするか」「熱っぽいか」というのが大事なのだそうです。これは、体温ではなく体感

寒気がする場合は葛根湯が基本ですが、葛根に解熱作用があるので、軽い熱っぽさにも対応するそうです。)

けれども、風邪のひきはじめでいきなり熱っぽいというのならば、葛根湯ではなく銀翹散がよいそうです。

(葛根湯ほどポピュラーじゃないけど、置いてある薬局もありますね。)

 

銀翹散の効能は(クラシエのサイトより)、

かぜによるのどの痛み・口(のど)の渇き・せき・頭痛

喉の炎症から熱っぽくなることって、多いですよね。
銀翹散は、抗菌・抗ウィウス作用のある処方で、身体を冷やす方向に働くそうでうです。

 

成分は、

薄荷 (はっか)  はっかの葉
牛蒡子 (ごぼうし) ごぼうの果実
淡豆鼓 (たんとうし)大豆の種子を蒸して発酵加工
金銀花 (きんぎんか)すいかずらのつぼみ
連翹 (れんぎょう)れんぎょうの果実
淡竹葉 (たんちくよう)ささくさの地上部
羚羊角 (れいようかく)さいがかもしかの角
荊芥 (けいがい)けいがいの花穂
桔梗 (ききょう)桔梗の根
甘草 (かんぞう)甘草の根

薄荷が入っている。涼しそうですよね。
実際、飲むとちょっとすっとします。売っているお店は少ない気がします。
けれど私自身、「寒気はないけど、むしろちょっと熱っぽい」というとき、銀翹散を飲んだら風邪に至らなかったです。

 

おまけ

そんなわけで私は、葛根湯(辛解表薬)と銀翹散(辛解表薬)を常備しています。

漢方の風邪薬って、やたらと種類が多いので、症状別の使い分けはまたいつか。

 

私は一応、「漢方アドバイザー2級」という紙を持っています。たぶん通信教育だから2級。(身体に関する習い事は通信教育はあんまり意味はないと思うのだけど、私は通えなかったので仕方なく)。

 

漢方薬の面白いところは、

A・一つの症状に対して数種類の漢方薬から選ぶ
同じ症状に見えても、その人の体質が違い、原因も違うから、それによって薬も変える。

B・一つの薬が色々な症状に効く。
例えば葛根湯の効用に「頭痛、肩こり、筋肉痛」があるのも、葛根湯が単なる風邪薬ではなく「血行を良くする、身体を温める、発汗させる」という効果からですね。

漢方薬、いろいろ面白いです。とても勉強しきれないので、必要なときに調べています。

 

2件のコメント

  1. こんにちは。
    台風は大丈夫でしたか?
    関西は警報が出ていたものの、河川の氾濫などはなかったです。
    風がすごくて看板が飛んだりしたところはありましたが・・・

    漢方って体質によってちゃんと使い分けないといけないんですね。
    漢方に限らずだけど、飲むタイミングだとか体質だとか
    しっかり見極めないといけないのか・・・
    効き目が緩やかなイメージがありますが、体質によっては副作用も
    けっこうあるんですね。

    1. TOKOさん、こんにちは。

      台風は意外と大丈夫でした。
      うちの周辺は、むしろ前回の台風のほうが酷かった気がします。
      自然の力の大きさには驚かされますね。

      漢方薬は、いわゆる西洋薬よりは副作用は少ないみたいです。
      なにしろ、人体実験の歴史が長いですから(笑)。

      面白いことに、漢方薬は配合されている生薬の種類が多いほど、
      効き目はマイルドなのだそうです。
      選び方がちょっと複雑になるのは、
      「症状を取る」のではなく、「身体を丸ごと治す(手助けをする)」というものだからだと思います。

      今は、ドラッグストアにも薬の相談に乗ってくれる人がいるし、
      効き目は優しいので、けっこうお勧めです。

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