身構えずに始めての金継ぎ

友人から結婚祝いに贈られたお椀。
夫のお椀が激しく欠けていたのです。
彼はお箸の先端もしばしば噛んで短くしてしまうし、
いろいろ謎です。

お店に塗りなおしを頼もうと思ったけれど、
見当を付けた店が閉店していたので、
自分で金継ぎしてみようと思い立ちました。

金継ぎって、陶器や磁器に施すことが多いみたいですけれど。

ざっくりした流れは、
1.欠けた部分に薄く漆を塗って1時間程度、乾燥する
2.漆と砥の粉を混ぜてパテを作り、欠けた部分を埋める
3.一週間程度(?)乾かして、目の細かい耐水サンドペーパーでパテの表面を磨く
4.パテの部分に漆を薄く塗り、金粉を振りかけて、乾いた筆で余分な金粉を払う
5.一週間程度(?)乾燥

みたいですけれど、実際になさる方は、
ネットでがっつり調べてくださいませ。

乾燥期間が難しい
温度や湿度、使い方(割れた皿を修理するのか、欠けを埋めるのか)、
パテの大きさによって、乾燥時期が違うのです。
乾燥には、温度のみならず湿度も必要、というのが厄介ですね。
素人の経験ですが、乾いていないと綿棒などで擦ってみると、
綿棒が黒くなります。

 

自分で金継ぎ、天然素材で

金継ぎ初心者なので、やり方が分からずネットで検索。
お手軽な方法だと、ケミカルな接着剤やパテを使うようですが、
せっかくなので漆を使うことにしました。
何を作るにしろ、最終的には土に還る素材を使いたいのです。

漆は、砥の粉と混ぜればパテになるし、そのまま塗れば接着剤になる優れもの。
でも、触ると本当にかぶれるそうです。

買った漆は、ちょうど水彩絵の具のチューブくらい。
この量でも全然、使いきれません。
わざわざ買ったのは、漆と砥の粉だけ。

一応、私が購入した商品のリンクを下に貼っておきます。
(2021年5月17日現在)
いろいろ捜した(疲れた)結果、これが少量でした。

 


たまたま、金箔が家にあったので、それを利用。

漆を塗るのには、先端の尖った細い筆を使いました。古い千切れた(!)筆。
雑な性格なので、割りばしを削ってヘラのかわりにしています。
砥の粉と漆を、様子を見ながら混ぜて練ってパテにする。
(ネットでは、何gと何g、って書いてあるけれど、細かくて計れないので、
様子を見ながら混ぜました)
それを、器の欠けに埋める。
その部分にラップなどをかけて指で指で調整するのもアリみたいです。

一週間くらい乾燥させてから、
私はサンドペーパーではなく、
目の細かい、細いやすりで凸凹を平にしました。
三十年以上前に買ったものなので、ほとんどギザギザなくてちょうどよかったです。

乾燥後、筆で漆を薄く塗って、
それからピンセットで金箔を乗せます。
綿棒を回しながら当てて、そっと接着。
そして乾燥を一週間くらい。

金粉を使えば、マットでもっと均一な仕上がりになったと思います。
金箔を使ったので、下の漆が透けているのか、
触るのが早くて、凹凸の凸部が剥がれたのかもしれません。

ちいさな欠けは、漆で埋めただけで、金箔は貼らず。
傷が目立たなくなればいいのですよね。

 

完璧を目指さず気楽に

いきなりお椀の金継ぎに挑戦したのではなく、
最初は欠けた自作の茶碗で試しました。
金箔の上からさらに漆を塗ると、キラキラが沈んで、より自然な感じ。

お椀に取り掛かってからも、実はけっこう時間がかかりました。
待ちきれなくて次の工程に進もうとしてしまい、
金箔が剥がれてしまったりして、何度もやり直したのです。
(とにかく、焦らず乾燥させることが肝心らしい。)
けれど、時間さえ掛ければ、なんとかなるみたいです。

金継ぎを趣味にするのではなく、
自分が使う食器が直ればいいのだから、道具も最低限で身構えずに始めてみる。
服のダーニングもそうですが、
日常の生活で使うものを、自分で直せて、
気に入ったものを長く使えればそれでいいな、
と思っています。

しかし、買えば一瞬、直せばかなり時間が掛かります。
そして、いろいろバタバタ。
「丁寧な暮らし」は、むしろ遠ざかります。

6件のコメント

  1. Tamakiさん、こちらではお久しぶりです。
    お椀のお手入れ、綺麗にできましたね。
    実はキーボードの調子が大変不調で
    参っています。長文が打てません。
    お椀の縁やお箸の先を齧ってしまうのは
    困りますね。子供の頃癖がついてしまったのかな。

    1. medical_rodさま

      こんばんは。
      キーボードが不調というのは大変ですね。
      私もスマホでは上手く文字が入力できず、
      キーボードが頼りです。

      お椀の縁は、たぶん何かにぶつけたらしく、
      ヒビが入って、部分的に歪んでいました。
      近くで見ると、まっすぐには直っていなくて、
      少し曲がっていますが、まあ、いいかな、と思っています。
      お箸の先端が欠けるような齧り方って、謎です。

  2. こんにちは。

    金継ぎ、少し前にテレビで観て気になっていました。
    独特の味が出るし、愛用品を長く使えるし良いですよね。
    そんな気軽に出来るキットがあったとは!

    しかし、乾かすのに1週間、気長にしないとダメなのですね。
    私はそんなに気が長くないから、向いてないかも。

    我が家にある食器は今のところそこまで
    欠けたものがなく、お気に入りの器がひび割れた!という
    事態になったら挑戦してみたいです。

    私の主人もお箸をボロボロにします( ;∀;)
    夫婦箸なんて、私のは初代なのに主人のはすぐにダメになったので
    主人のお箸だけ買い替えています。
    歯ブラシもすぐに毛先がモケモケになってしまい、しょっちゅう取り換えます。
    どうやら、嚙みながら磨く(?)らしいのですよねぇ。

    1. TOKOさん、こんにちは。

      金継ぎは、ゆるくブームっぽいですね。
      私も本屋さんでキットを見た気がするのですが、
      買うものは少なく! ということで、
      バラで漆と砥の粉だけ買いました。

      私も、短気が災いして、何度もやり直してしまった感じです。
      だいぶ自信はついたけど、
      もう、お茶碗に壊れてほしくないです。
      お気に入り! が蘇るのは、おすすめポイントです。

      TOKOさんのご主人も噛んでしまう方なのですね。
      モケモケって………(笑)。
      うちも、私のお箸は初代、夫の箸は何代目だったか。。。
      夫婦茶碗とか、ペアカップとか、
      そういうのに限って割られている気がします(とほほ)。

      1. おはようございます。

        Tamakiさんところも、夫婦箸は妻のは初代で夫のは何代めか・・・
        なんか、面白いですね。
        夫婦茶碗も新婚でウキウキで買ったのに、いつの間にか私の茶碗も
        「未亡人」になってしまいましたし。
        ペアでなんて揃えるもんじゃなーい!と思ったり。

        あ、でも人から頂いたペアのマグカップは死守しています。
        やはり頂き物となると扱いが丁寧になるんでしょうかね。

        1. TOKOさん、再びこんにちは。

          そうなんです、お箸!
          なんだか、面白いですね。

          夫婦茶碗とペアのマグカップは、
          根性で探して、割れたものと同じものを買いました。
          なので数年前から、食器類は「同じものを3枚購入」
          と決めました。
          1枚割れても、時間稼ぎ的な。

          今回直したお椀も友達から贈られたものじゃなかったら、
          サクッと新品を買っていたと思います。
          頂きものはありがたく、思い入れもありますよね。

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