免疫、抗体、ワクチン、一気に知りたい

新型コロナウィルスの登場で、ウィルスについて考えることが多くなりました。
免疫とか抗体とか、実は知らないなあ、
ということに気が付いたりして。

簡単に言うとどうなの?
誰か分かりやすく教えて!

と、思ったのだけど、結局、コツコツ調べて、
かなり時間がかかりました。

身体の防御のしくみからワクチン、
そのリスクまで一気にまとめた大人の自由研究です。

 

病原体に対する人体の防御とは?

段階があるのですね。

1.物理的・科学的防御
  ・皮膚の角質が侵入をブロック。咳、くしゃみ、気管の繊毛上皮による異物の排除
  ・汗などに含まれるリゾチームという酵素が細菌の細胞壁を分解して破壊
  ・涙、痰、鼻水、唾液、胃酸などによる殺菌など
  

これを破られると、

2.自然免疫相手の種類に関わらず、侵入した異物を取り除こうとする)

更に、これも破られると、

3.獲得免疫(自然免疫で排除しきれなかった異物を特異的に排除する
  ・細胞性免疫と、液性免疫(体液性免疫)がある。 

 

自然免疫とは?

自然免疫とは、異物が侵入したとき、
相手を特定せずに素早く、侵入した異物を排除しようとする仕組みです。

好中球、単球(ともに白血球の一種)が対応します。
好中球は、病原体を殺す化学物質を分泌して死滅。これが集まると膿になるそうです。
単球は、異物を取り込んで、なんとなく聞いたことのあるマクロファージ、に分化するのです。
この、マクロファージ、有名なだけあって働き者です。
・体内に入った細菌、ウイルスなどを食べる。
・傷の修復
・インターロイキンという物質を出して脳に働きかけ体温を上げる。
・抗原提示(以降の「獲得免疫」の働き)

 

獲得免疫とは

獲得免疫とは、
前に感染したことのある病原体などの記憶に基づき、その病原体を狙い撃ちするしくみです。
なので、初めて侵入した異物への対応には時間が掛かってしまうのです。

初めてやってきた病原体を樹状細胞が食う! 
(病原体を、以降、抗原と言い換えますね。
 抗原とは、特定的な免疫を引き起こす物質、という意味です。)
樹状細胞に食われた抗原の一部は、樹状細胞の表面に移動します。
それによって、抗原が他の細胞にお知らせされるのです(=抗原提示)。
警察で言うところの、手配書が回る感じでしょうか?
自然免疫で登場したマクロファージもリンパ節に移動して抗原提示します

このお知らせをキャッチするのが、ヘルパーT細胞(リンパ球の一種)です。

 

ヘルパーT細胞が、キラーT細胞の増殖を促進。

このキラーT細胞は、ウィルスなどに感染した細胞を直接攻撃して破壊。
これが「細胞性免疫」です。

 

ヘルパーT細胞は、B細胞(リンパ球の一種)の増殖も促進します。

B細胞形質細胞というものに変わり、抗体を量産するのだそうです。
抗体は、提示された特定の抗原と結合して(抗原をマーキング)、
抗原を無毒化します。(抗原抗体反応)
これが「液性免疫」です。

 

同じ抗原がもういちど侵入した場合に備えるのが、免疫記憶です。
特定の抗原を記憶したT細胞B細胞の一部は、抗原の攻撃に参加せず、
記憶細胞となって保存されるのですって。

再度同じ抗原が侵入したら、速やかに免疫反応を起こせる。
この場合、抗体の生産が早くできるし、生産量も多いそうです。

★マクロファージ、好中球、樹状細胞など、
食作用を持つ細胞を、貪食細胞 食細胞と言います。

 

抗体って何?

抗体とは何か。
医学的には「免疫グロブリン」というそうです。
(「Ig」と表記)
B細胞で作られ、放出されるタンパク質

ミクロの世界的にはアルファベットの「Y」の形をしています。
(とはいえ、綺麗なY字型、というわけでもなさそう………)

Y字の上端は形が変わります。
樹状細胞 → ヘルパーT細胞 → B細胞
と伝達されてきた抗原(病原体)にピッタリ合う形に変わるのです。

そして抗体は、「Y」の挙げた両手! って感じの部分が抗体と結合します。
これによって、抗原(病原体)がマーキングされます。

 

抗体の役割

では、抗体はどうやって抗原を排除するのでしょう?
ここは、新しい言葉が登場して、くじけそうになるので、
さらっと読んでくださいませ。

1. 中和作用
 抗体が(わーっと)抗原にくっつき無力化する。
 この抗体を中和抗体と言う

2. オプソニン効果
 抗原に抗体がくっつくことにより、マクロファージや好中球が食べやすくなる

3. 細胞溶解
 補体(なんすか? と思いました。血液中に存在するタンパク質の一種で、9種類ある)を活性化。
 抗原と抗体はくっついていると、補体が集まり、抗原の細胞膜に穴を開けて破壊

 

多才ですね。

 

抗体の種類

免疫グロブリン」という抗体、「Ig」と表記と表記されますが、実は5種類あるそうなのです。

IgG……血液中で最も多い。オプソニン効果、中和作用が強い。血中に長く留まる
IgM……通常、血液中に存在。素早く作られて一時的に増加する。
IgA……粘膜で作用する。鼻水、唾液、血清、母乳、腸液などに含まれる。
IgE……大昔は役に立ったのだろうが、今はアレルギーの原因になる。
IgD……どんな役割なのか、不明

 

*余談ですが、アレルギーを引き起こすIgEですか、これがどれだけ多くても、
 体内に抗原(原因物質)が入らなければ、何も起こりません。

 

サイトカインストームとは?

サイトカインストーム、という言葉も時々、耳にします。

サイトカインとは、細胞から出るタンパク質。
いろんな種類があり、免疫や炎症を調整しているらしい。

サイトカインストームは、サイトカインが過剰に分泌された免疫の暴走状態。
それによって、全身の状態が悪化するそうです。

 

そもそも、感染の仕組みは?

そもそも、新型コロナウイルスには、どうやって感染するのでしょう?
人の身体に入ったところから見てみます。

ウイルスは自分では増殖できず、宿主の生きた細胞に侵入して、その中で増殖します

コロナウイルスの写真にある表面のトゲトゲ、
あれがスパイクタンパク質です。
このスパイクタンパク質が宿主(人)の細胞表面の受容体と結合。
ウイルスの遺伝子(新型コロナではRNA)が細胞内に侵入して感染します。

細胞内でウイルスは複製されます。
(宿主の細胞が乗っ取られて、ウイルスを作らされる感じ?)
ウイルスに感染した細胞は死に、複製されたウイルスが放出されます。

 

ワクチンとは?

さて、では、ワクチンって何でしょう。
抗原を身体に入れて、獲得免疫を誘導します。
抗体を作るんだよね、と思っていたら、微妙に違いました。

ワクチンの種類を見てみましょう。

生ワクチン <BCG、麻疹、風疹、おたふく風邪など>

ウィルスを長期培養して弱毒化させたもの。生きてる。
これは、抗体ができる(=液性免疫)だけでなく、
細胞性免疫キラーT細胞が直接攻撃)も付きます

不活化ワクチン <インフルエンザなど>

ウィルスを化学処理して感染力を失わせている。死んだウィルス、あるいはその一部。
抗体ができる(=液性免疫)のみ誘導


<現在、新型コロナウィルスに使われているワクチンについて>

以下、どちらも新型コロナウイルスの一部、スパイクタンパク質を抗原に使っています。
スパイクタンパク質はウイルスの表面にあり、
これが人の細胞の表面の受容体と結合することによって、
ウイルスの遺伝子が人の細胞に入って感染します。


ウイルスベクターワクチン(アストラゼネカ)

アデノウィルスの一部の配列を、
新型コロナウィルスのスパイクタンパク質を合成する配列に置き換えたもの。
アデノウイルスをベクター(運び屋)として使っている
液性免疫細胞性免疫、どちらもできる

しかし、2回接種すると、「アデノウィルスに対する強力な免疫」ができちゃうので、
以降、接種しても、すぐに中和されてしまい、新型コロナウィルスのタンパク質を作れない。
つまり、インフルエンザワクチンのように、毎シーズン打つ、という使い方はできない。

mRNAワクチン(ファイザー、モデルナ)

新型コロナウィルスのスパイクタンパク質の塩基配列を作る情報(mRNE)によって、
体内でスパイクタンパク質がができて、それに対する抗体ができる。
液性免疫細胞性免疫、どちらもできる

RNAは不安定。
そこで、脂質ナノ粒子に封入している。
(この、脂質がアナフィラキシーを起こすという説も見たことがあります)

 

そのほかにも、ワクチンはあるみたいです。

 

ワクチンのリスクって、どうなの?

ワクチンのリスクとは、なんでしょう?
真っ先に思い浮かぶのが副反応ですね。

副反応の症状は多岐に渡っていますね。
原因が分からないと対応できないのだから、
ちゃんと調べてほしい! と思います。


・アナフィラキシー
これは、短時間で起きるアレルギー症状です。
症状は蕁麻疹、腹痛、嘔吐、息苦しさなど、だそうです。
急激な血圧低下、意識レベル低下の低下がアナフィラキシーショック
(怖いけど、個人的には、正体が分かっていて、対応が分かっている分だけ良いと思います)

 

抗体依存性感染増強(ADE)抗体依存性免疫増強、とも)

抗体がウイルスを引き寄せ、単球やマクロファージを感染させてしまい、
これら免疫細胞が暴走、症状が悪化すること。
ウイルス感染、ワクチン接種によっても起こりうる。
とのことですが、新型コロナウイルスワクチンについて、
厚労省のサイトでは「現時点においては確認されていません。」

 

・新型じゃないコロナウイルスとの関係

あるウイルスに対して良い抗体が、遺伝的によく似た別のウィルスには悪い抗体となり、
重症化を招くことがある。
なので、ワクチン接種後に、新型「じゃない」コロナウイルスに感染した場合のことが不明

 

ワクチンの長期的なリスクも不明だし、
副反応もなかなか厳しい。
だから、「打たない」という選択も尊重されるべきだと思います。

 

*以上、がんばってまとめましたが、
「これ、違う!」という部分がありましたらご一報くださいませ。

 

 

おまけの、私感

ふだん、全く気にしていなかった免疫、抗体の仕組みの複雑さに驚きます。
すごい! と同時に、
抗体のせいでアレルギーが起きたり、
自己免疫疾患、などもあり、まだまだ奥が深そうです。

人は多くの細菌、ウイルスと共に生きていて、
彼らの存在なくしては、私たちも生きられない。
相手は自然なのだから、人にとって都合の良いことばかりではないですね。
というか、人間も自然物ですけど。

自分の身体を信頼できるように、
しっかり整えたいと思います。



さいごに

  • 今回、ネットでいろんなサイトを読み比べたのですが、
    ベースになったのは、高校の生物の教科書でした。
    これを書く前に読んだ『京大 おどろきのウイルス学講義』(宮沢孝幸・著)もお勧めです。

ウイルスとは何か、
私たち哺乳類とウイルスの(けっこう意外な)関わりなど、
読みやすく、分かりやすかったです。
今回の新型コロナウイルスやワクチンのことも載っていました。

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