古い言葉が美しいのは何故?

サントリーの天然水のCMの詩に、釘づけ

テレビから流れるコマーシャルの言葉に、突然、耳が釘付けになりました。

「月光をして汝の逍遥を照らさしめ、
 山谷の風をしてほしいままに汝を吹かしめよ」

山谷は「さんこく」と読みます。なんて格好いいんだ!
急いで、「何のCM?」と、テレビを凝視すると、サントリーの天然水。
朗読は宇多田ヒカルさんでした。

そこからネットで調べると判明。
国木田独歩の随筆集『武蔵野』の『小春』からの引用でした。
(ありがたいです、青空文庫で読めました。)
詩は独歩のオリジナルではなく、ワーズワースの詩集から。

ある日、独歩はホコリまみれのワーズワースの詩集を引っ張り出し、この詩集を頻繁に読んでいた頃のことを思い出すのです。

独歩が読んでいたのは原文らしく、

“Therefore let the moon
Shine on thee in thy solitary walk;
And let the misty mountain winds
be free to blow against thee.”

という引用がされています。
最後の単語、” thee” を検索すると、「汝」、「あなた」、「そなた」となっていて、英語の古語なのですって。

独歩も文語体で訳しているわけですが、古い言葉って、やはり素敵です。
私は国木田独歩の本は、高校生くらいの頃に『牛肉を馬鈴薯』を読んだきりなのですが、文語体の本など、たまには読んでみようかしら、と思いました。

それから、本棚のどこかに埋まっているはずのワーズワースの詩集も発掘しようかしら。

と、いいつつ、スマホゲームで遊んでしまい、情けないのですけれど。

 

青空文庫『小春』より

2件のコメント

  1. こんにちは。

    賛美歌はやっぱり古い日本語がしっくり来る、と思っている私です。
    賛美歌21が出た時に、確かにわかりやすい言葉だなぁと思ったんですけど、
    昔からの刷り込みですかね、ピンとこなかったんですよ。
    恐らく、古いものを知っていると新しいものって慣れなくて受け入れにくく
    なっちゃうんでしょうね。

    ワーズワース、大学の時は英文科だったのでちょっとだけ齧りました。
    彼の詩は難解ではないけれど、古い英語、それこそ二人称がtheeですから
    読みづらいなぁ、と。
    ワーズワースに限らないんですけど。
    しかし、聖書のKing James Versionをある程度読み慣れると、
    古い英語の詩もすっと入ってくるようになるから不思議です。

    ぜひぜひ、詩集を探してひも解いてみて下さい♪

    1. TOKOさん、こんにちは。

      賛美歌は古い日本語がしっくりくる、というのは、分かる気がします。
      主の祈りだって、文語のほうがしっくりきます。
      (って、もう数年間、教会に行っていないのですけれど)。

      ワーズワースの詩集は退屈した記憶があるのです。
      翻訳だから? なんて思いつつ、私、英語はとても苦手なので無理です。。。
      聖書、欽定訳と言われているやつでしょうか。
      英語で読めるなんて、私からすると、すごい! のひと言です。
      聖書って、写本の写本の…翻訳の翻訳………、
      みたいなのが、聖書の悩ましさでもありますね。(って、脱線ですが)

      新しい言葉に慣れていく、というのもあるでしょうけれど、
      やはり、古い言葉のほうが響きがきれいなのでは? とも思います。
      でも、言葉は生き物だし、新しい言葉も好きです。

      詩集、油断すると眠くなりそうですが、探してみます。

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