スーパーで山積みのリンゴを見たら、すっかり嬉しくなってしまい、2つ買いました。残念ながら紅玉ではないけれど、これでコンポートを作ろうと思って。
砂糖は何グラム?
ネットで検索すると、1個につき40g、というレシピを発見しました。
赤いホウロウ鍋に、水と砂糖、それから白ワインとレモン汁を少し。
皮を剥いて4つに切ったリンゴを並べ、水を足して量を調節。
なんかもう、幸せな鍋です。
ふつふつ、といい音。
透き通ってくる。香りもしてきます。
リンゴに火が通ったので入れ物にとり、残った汁を煮立たせます。
とろみが出てきて、いい感じ。
汁をリンゴに掛けて、入れ物に蓋をして冷蔵庫で冷やします。
そして、器にとって、おやつ。
おいしそう。つやつや。
部屋が散らかっていても、洗濯物が畳まれないまま山になっていても、庭が雑草だらけでも、お皿の中は平和なのです。
リンゴのコンポートのレシピをネット検索したら、けっこう「レンジで簡単!」というものがありました。
ええっ? 鍋で煮るのが楽しいんじゃないの? レンジで作るなんて勿体ない! と思ったのです。
いや、事情はそれぞれですけれど。
この頃、妙に忙しいのです。
ほとんど専業主婦の私がなぜ?
時間が経つのが異様に早い。毎日、何かに追い立てられるように、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ、と。
今はとても便利なはずなのに。
買い物だって、何軒も店を捜し歩かなくてもネットショップで絞り込めばいい。調べものだって、本屋や図書館で本を探さなくてもネットで検索。それなのに、時間に余裕がないのは、ミヒャエル・エンデの『モモ』に出てくる時間どろぼうが暗躍しているとしか思えない。
便利になったからといって、余裕ができる訳ではないんだなあ、と、改めて思ったりして。
例えば、リンゴのコンポートがレンジであっという間にできる。
すると、リンゴをことこと煮て、なんども鍋を覗き込んで様子を見る、という時間が失われてしまう。
誰のお話だったかしら?
ヒマラヤ登山をしたとき、途中で現地の案内人であるシェルパたちが動かなくなってしまったそうです。訳を尋ねると、「まだ魂が付いてきていない」と。移動しすぎて、魂が追い付いてこないから止まって待つ、ということですって。
私たちの生活も、生活のスピードに魂が追い付いていないみたい。
便利だから、一つでも多くの事をこなせると思って、却って時間を………生きている時間を失っているのだろうなあ。
毎日をどう過ごすのか、この機会に考えています。