『ときをためる暮らし』

本屋さんで見かけた
『ききがたり ときをためる暮らし』(つがた英子・つばたしゅういち 文春文庫)を買ったのは数か月前でした。

本棚に放置して、その後少しずつ読み進み、読み終えてしばらく経つのに、この本が意外にも心の中に居座っているのです。

帯は「夫婦合わせて171歳。半自給自足の丸太小屋暮らし」。

英子さんは200年以上続いた造り酒屋の娘さんで、サラリーマンのしゅういちさんと結婚。自分たちで作った無農薬の野菜を料理したり保存したりして、娘さんやお孫さんに送ったり、お客さんにふるまったり。日々の丁寧な暮らしが語らえています。

「ときをためる」ってなんだろう?? 

”「物を買うときは次の世代に伝えられる、いいものを買いなさい。安ものは絶対買っちゃいけない」というのが実家の教えでした。”


ということで、いいものを慎重に選び、買えるまで気長に待つのだそうです。

” 自分の手で暮らしを見据えたストックをつくること。
それが<ときをためる>ということです。”


って、いいですね。理想です。「八四歳からサプリメントを飲みだした」とか「自分に備わった感覚で、物事を判断する」とか、発想が柔軟でかつ、流されない方々なのだな、と思いました。

ときどき眺めることになる本かもしれません。

 

私は物ごころついたときから、人生の目標に「幸せ」を考えたことがなかった気がします。もっとも大切なことは、正しくあること。

けれど、大人になるにしたがって、正しさは人それぞれであって、しかも「自分は正しい」と思うことが最も厄介で危険なことだと気が付いたのでした。

その後は、悲しみに甘えたり、苦しい現状から抜け出すために、もがいていたり。けれど気が付けば今、かなり平和に、幸せに暮らしています。

日々を大事に、丁寧に暮らしていきたいなあ、と改めて思います。
でも、これがけっこう、というか、かなり難しい。

 

2件のコメント

  1. こんばんは。

    丁寧な暮らしって今ちょっとブームというか、そういうのを
    心掛ける人が出てきているけれど、ライフスタイルというよりも
    ファッションみたいな感覚の人が多いのかなぁ、という気がしています。

    まぁ、でもたとえ見栄えや形から入るのも、全然ありだとは思います。
    だって、親の世代からしてもう大量消費時代だったんですもの~。

    買えるようになるまで待つって大切かも!
    確かに、質の良いものってすごく高価だったりするので手が出ないなぁって
    諦めて、妥協して安物で済ませちゃう、ってことがあるんですけど
    しっかりお金を貯めてから・・・でもいいんですよね、きっと。

    とは言え・・・確かに後に残すためのものがあってもいいけれど、今の世の中、
    その価値観もちょっと揺らいでいるのかな?
    土地や建物をむしろ相続したくない人も多い昨今。
    高価な骨董や道具、立派で大きな家具とか・・・
    持て余すという声も聞きますから、ほんと、難しいですね。

    1. TOKOさん、おはようございます。

      たしかに、数年前からブームですよね。
      古民家風のおうちの雑誌なんかも出ていますし。
      でも、形から入るのはアリですよね。

      この本のご夫婦は数年前に90歳で亡くなっていて、
      戦争で食べ物がなかった世代なので、ガチな感じです。
      (いい土の畑を残したいそうです! 裕福ではないので、家電も分割払い購入)
      私なんて子どももいないし、
      「三世代使える」ってキャッチコピーの鋳物の鍋とか、
      いらないなあ(重いし!)って思いました。

      大きな家具とか骨董品とか、残されても困るでしょうね。

      私も安いものを間に合わせ的に買うこと、あります。
      買ったからには使う責任もある気がするけど、
      結局、使えなかったりして。
      待つって大事かもですねー。

      難しいけど、その都度考えたほうがいいですね。

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