『養生訓』って、題名は聞いたことがあり、いずれ読もうと思っていたのですが、ついに読みました。そして思いのほか面白かったのです。
貝原益軒『養生訓』とは
貝原益軒(1630年~1714年)は江戸時代の本草学、儒学者だそうです。
幼少期に虚弱だったのに、黒田藩のお抱え学者を70歳まで勤め、その後も多くの本を著し84歳まで生きたそうです。
この貝原益軒が83歳の時に書いた健康論が『養生訓』ですから、説得力がありますよね。
健康に関する(たぶん膨大な)本を読み、実践して書かれたわけですし。
なんと、ネットで原文を読むこともできるようですが、私は文庫本を買いました。『養生訓』といってもいろいろなものが出ていますが、私が選んだのはこちら。
養生訓 (中公文庫プレミアム)貝原益軒(著)、松田道雄(翻訳)
訳はやさしく読みやすかったです。おすすめかも(これしか読んでないけど)。
解説を含めて274ページですから、そんなに長くないですし。
まず総論があって、飲食など具体的な内容が続きます。
以下、”~” 内は引用です。
健康でいることは正しい&義務である
貝原益軒によれば、人の身体は天地、父母から与えられたものだから、不摂生に病んで天寿を縮めるのは「不孝」だそうです。なので、養生の道を学んで健康で長生きするのは正しいことであり、義務。
”身命と私欲とどちらが大事かよく考えて、毎日の生活を慎み、私欲の危険を、深淵にのぞみ、薄氷をふむように恐れるならば、長生きし、いつまでも禍をまぬがれるだろう。
人生、楽しまないでいいことか。命が短くては全世界の富を得ても仕方がない。”
健康で過ごすための基本は、
内欲(飲食の欲、好色の欲、眠りの欲、しゃべりたい欲、喜・怒・憂・思・悲・恐・驚の七情の欲)と外邪(風・寒・暑・温)を遠ざけること。
だそうです。
眠りすぎ、しゃべりすぎ(!)も遠ざけなさい、というのが面白いですね。
読んでいて、なるほどと思うことが多い
大切なことは、何度も繰り返し語られています。
とはいえ、内容は具体的で詳しいので、人によって「おおっ」と思うところが違うかもしれません。
私が個人的に、肝に銘じようと思ったことをざっくり書くと、
・食べてすぐ寝るな。食後に三百歩くらい歩くといい。
・「長い」のはよくない。長く寝る、長く楽な姿勢でいる、座りっぱなし、長話
・静かにしすぎず、動きすぎず
・完璧を目指さない
・住まいをきれいにすること
・心穏やかに過ごす
などなど。
他にもなるほどと思うことも多いです。「食事の前後に怒るな」とか(確かに、消化が悪そう)、「櫛の歯が細かいものは毛が抜けるから避けなさい」とか(同感です)、「薬をむやみに飲むな」「焦って治そうするな」「医者は選べ」。
もっといろいろあるのです。食事はもちろん、お風呂の入り方や鍼灸について、薬について、医師についてなど、とても具体的に書いてあります。
もちろん、現代では「それはちょっと………」という内容もあり、そこは訳注にてコメントされています。
江戸時代の食材って
健康に関すること以外にも、面白い部分がけっこうあります。
私が面白かったのは、「食い合わせ」の部分でした。
避けるべき食べ合わせが列挙されていますが、
”豚肉には、生姜・蕎麦・胡ずい・炒豆・梅・牛肉・鹿肉・すっぽん・鶴・鶉(うずら)がいけない。”
という調子で、現在もお馴染みの食材もおびただしい数、出てくるものの、びっくり食材としては、
兎肉、かわうそ、雉、鯉、なまず、鴨、鴨の卵、雀肉などなど。
そのほかにも、よく分からないが植物なんだろうなあ、という食材名も多数登場。江戸時代の人たちは、現代人よりも多種類のものを食べていたのかもしれません。
情報は偏りなく
健康でいるための知識を学ぶことの大切さが語られています。昔の聖人たちも身体の知恵を持っていたのですよ、と。
そして、貝原益軒さん、釘を刺しています。
”およそ諸医の治療書にはかたよった説が多い。誰か一人を本家とし、その人の本だけを用いていては治療はできない。”
これは現代でも言えますね。
この本、ときどき開いて眺めることになりそうです。
こんにちは。
江戸時代の人が書いた健康本(?)が現代にも通じるって
何だか、普遍的なものがありそうですよね、健康を保つのには。
お喋りを遠ざけたら、私は逆にストレスになりそう(^^;
でも、緊急事態宣言から今の今まで、家族以外とほとんど
話さない日々が続いていて、それでもなんとかなってる。
というか、この状況に慣れてしまった、ということですかね。
週に一度の礼拝で家族以外の人と顔を合わす、
これまた週に一度の出勤の日に会社の上司と顔を合わす、
ごくたまにマンションのママ友とちょっと立ち話する・・・
以上!って感じ。
食べ合わせを見て思ったのですけど、生姜と豚肉って
よく合うような気がするのですけどね。
豚の生姜焼き、豚の角煮・・・いずれも生姜が入るし。
調理法によるのかな?
TOKOさん、こんにちは。
江戸時代とはいえ、人間の身体はそんなに変わっていないから、
普遍的な内容になるのかも、ですね。
友達とおしゃべりで元気になったりしますよね。
貝原先生、書いた当時83歳だし、武士だし(たぶん)ってこともあるのかも?
私はこの数年、教会にも行かず仕事も在宅ってことで、
そもそも、人と会う機会が少ないのですけど、
外出は減っていて………。
今年はいろいろ大変だけど、慣れちゃう部分もありますね。
確かに、豚と生姜! むしろ良さそうですよね。
当時の文献から、そういう結論に達したのかもしれず、
そのあたりはアップデートが必要ですね。